先日、Tシャツの黄ばみの相談を受けた。
たまたま見つけたブログに僕のことが書いてあり、LINEで相談を送ってこられた。
Tシャツの首元、袖口に黄ばみが残り、これまで漂白などを色々試してみたもののどうやっても落ちず諦めていたそう。
Tシャツの全体像、それに素材と絵表示の写真を送ってもらった。
写真を見ると、白い綿のTシャツなのですが、胸の部分に特徴的な刺繍がある。
間違いなく、このTシャツの大事なポイントはこの刺繍の部分。
この刺繍への影響を出来る限りなくして、黄ばみを落とす。
そのことを考えると、ご家庭での処置は少し難易度が高く、同時にこの服の良さを壊してしまうリスクも高いと僕は判断した。
そのため、近くでクリーニング屋さんを探して、お持ちいただき、相談されたほうがいいとお伝えをした。
すると・・・
「普通のTシャツってクリーニングに持ち込んでもいいんですね…制服とかスーツとか特別な感じのもの以外は全部家でどうにかできるものだとばかり思っておりました。」
と、返事をもらった。
クリーニング屋さんは、下着以外は基本クリーニングの依頼ができる。
※下着は一部のお店を除き法律上の規制があり預かれない。
普段着としているTシャツでも、ジーンズでも、クリーニングに出していいのです。
僕は、「ぜひ、クリーニング屋さんで相談してみて欲しい」と思い、伝えた。
数日後、またLINEをもらった。
—
こんにちは、以前はTシャツの黄ばみの件でアドバイスいただきありがとうございます。
本日クリーニング屋に持って行ったTシャツが帰ってきました、
シミ抜きしてもらったものを見てこんなに違うんだって驚きました…!
店主さんは新品ほどにはならないけどとおっしゃってましたが新品同様です。
中村さんにアドバイス頂かなかったらクリーニングに持ってくなんて考えにはならなかったので本当に感謝です!
ただ洗うぐらいしか考えたことがなかったのですが、洗うの中にも色々あるんだと勉強にもなりました。
生地のキメも違うというか…ほんとに同じTシャツなのかって疑うぐらい綺麗になりました。
初めてのクリーニング屋だったのですが頼る場所があると知れて良かったです!
—
良かった・・・!!
と思うと同時に、少し複雑な気持ちにもなった。
これはずーっと感じていることなのだけど、
服本来のキレイな状態がわからなくなっている人がとても増えているということ。
そして、
「服をクリーニングに出す」ということが、もはや、ほとんどの人の中に選択肢としてないのだということ。
このことを今回も実感したからだ。
クリーニング業界は最盛期の1/3くらいに需要が減っている、
その原因はなにか?の話になると、
「洗濯機が進化した」
「洗剤が進化した」
「家で洗える服が増えた」
一般の人は、そんな風に言う人も多い。
でも、本当に何かが進化したかと言うと、たいして洗濯機も洗剤も服も、根本的には何十年も変わっていない。
業界内は業界内で、「手を抜くクリーニング屋のせいだ」みたいな批判が始まる。
あるいは、「もっともっと技術やサービスを向上させねば淘汰される!!」みたいな、謎の「脅迫観念モード」に突入してしまう。
でも「そこじゃなくない?」と僕は感じる。
もちろん技術やサービスの向上は大事なことだとは思うんですけど、そもそもクリーニングに出すものじゃないと思っていたり、「キレイ」の基準が全然違うのだから・・・
それではあらゆるミスマッチが起こるばかり。
世の中から減ったのは、「クリーニングに出す服」ではなく、<服を洗ってキレイにする>そのことの「本質を考える人」ではないのかな?
なんて思ったりする。