今回は、ドイツのMiele(ミーレ)社の洗濯機についてちょっと書いてみたいと思います。
ミーレの洗濯機って、日本では馴染みのない方のほうが多いのではないでしょうか??
日本ではあまり知られていないミーレの洗濯機ですが、実は、あのスティーブ・ジョブズが2週間悩みぬいた末に自宅の洗濯機として購入したという伝説を持ちます(笑)
あの変態的なこだわりをもつジョブズが
「同社が開発した洗濯機や乾燥機のデザインは素晴らしい。これらの製品には、ここ数年どんなハイテク機器にも感じたことのない興奮を覚えた」
と言っているだけで、すごい洗濯機だと言うのがわかると思います(笑)
ミーレの洗濯機を実際に使ってみると、日本の洗濯機とまったく哲学的に違うことが分かります。
|ミーレの洗濯機の特徴
ミーレの洗濯機も、実際に使っている僕ですが、その特徴を個人的な見解を交えつつお伝えしたいと思います。
ただし、ミーレの洗濯機は一般的な洗濯機と同じような感じで導入すると確実に不満が出ます(笑)
電源も200Vを必要としたり、床もコンクリートなど頑丈なものでなければ補強が必要だったりします。
ミーレの洗濯機はひとことで言うと「腕はメチャクチャいいけど、頑固な職人」みたいな洗濯機なので、きっちり仕事をする反面、融通が利かないと感じる面も少なくありません。
個人的にはこの頑固職人的な感じは好きですけど・・・(笑)
あ、ちなみに僕のところにあるのは、洗濯乾燥一体型のWT2780と洗濯のみのタイプのW5965という機種です。
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|特徴その1 色や、素材別、アイテム別にメニューがかなり細かい。
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例えば、綿とポリエステルなどの合成繊維だと、洗濯で受ける影響が違うというのは、なんとなくご存知でしょうか??
綿などは高温で洗うとキレイになるのに対し、ポリエステルは温度が高くなりすぎると逆に汚れを吸着する様になったりします。また、脱水時のシワのつきやすさなども違いますし、干した時の乾きやすさなんかも違いますよね。だから、繊維の特徴によって細かく仕分けることで、洗濯の質って変わります。
だからミーレの洗濯機は、素材や汚れに応じて最適な洗濯をするためにメニューがかなり豊富ですし、水温も綿などは常温の水から90℃まで調整が可能です。(ヨーロッパの洗濯機は水温調整できる洗濯機多いです)他にもスニーカーコースや、ぬいぐるみコースなんてのも搭載されています。
ただし、反面、運転時間がけっこう長かったり(日本の洗濯機なら通常30分でおわるところが1時間30分位かかることも・・・)メニューの多さや仕分けの細かさは一見、わずらわしい感じを受ける可能性はある・・・。自分でいろいろと調整したい人は、融通が効かないのでストレスになる可能性も高いかな。
ただ、ミーレの洗濯機は他の洗濯機と考え方がまったく違う。比べるものじゃないなと個人的には思っています。
例えば、僕は、日頃アドバイスをしている時に「洗濯機任せにせずに、下洗いとかして、洗濯機に頼り過ぎないようにした方がキレイになりますよ」とアドバイスをしています。でも、ミーレの洗濯機の場合はまったく逆。洗濯機に任せきりにした方がいい印象です。
|特徴その2 洗濯機に合わせて洗剤も作っている。
上記の、洗濯機に任せきりにしたほうがいい理由として、洗剤も自社で作っているのがかなり大きいと思います。
(注:市販の洗剤も使えないということではないです、好きな洗剤を使うことは出来ます。)
白い服用、色の濃い服用、ウール用、羽毛用などなど、洗濯機のパフォーマンスを最大にするために。また逆に、洗剤のパフォーマンスを最大にするためにお互いが補完しあっているんです。
洗濯機のための洗剤と同時に、洗剤のための洗濯機なんです。
洗濯のこと考えて行ったら、必然的にそうなると思うんですよ。最大限に力を発揮させようとしたら、どちらも自分で設計する必要がある。洗濯機と洗剤はハードとソフトだから。
だから、余計なことしたりミーレの洗剤を使わないで市販の洗剤使うと、ミーレの洗濯機の性能は引き出しきれないと思います。その部分がメリットでありデメリットかなとも思う。
|特徴その3 衣類を痛めない「ハニカムドラム」
ミーレのドラムの特徴は、蜂の巣状の構造になっている「ハニカムドラム」と呼ばれています。
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これは、服とドラムとの間に水の薄膜を作るので、素材を傷めない様に設計されています。毛羽立ちが起きにくくなったり、引っかかったりせずに洗えるので、デリケートな服にも優しい。
僕は、洗濯には「汚れに対する洗浄力」ではなく「服に対する愛情力」が大事だよと言っていますが、このドラムは非常に「愛情力」が高いです。
また、このドラムは、その機能もさることながら、見た目も本当に美しいです。これ見ながら、ビール1杯飲めますよ僕は(笑)
|特徴その4 洗・乾一体型だと、乾燥は弱い
以前、ドラム式洗濯機の利点として、乾燥機能が優れている点を上げました。(参考:→中村式 洗濯機の選び方-ドラム式編-)
でも、ミーレの洗濯機は洗濯乾燥一体型の場合、乾燥がやや足りないことが多い。これは、ドラムの直径がやや小さめなのでかき混ぜ効果が出にくいため。
さらに、直径が小さいと服もシワになりやすいです。乾きにくさとシワは不満が出るポイントかなぁ。
ミーレは、洗濯機と別で乾燥機のみも売っています。なので、乾燥機は別にしたほうが個人的にはオススメですね。
まぁ・・・結構高額になってしまうのですが・・・汗
この乾燥機のことも、また別で書きますね!
|ミーレの洗濯機は、洗濯に対する独自の哲学・思想を持った唯一の洗濯機だ
このコラムの一番最初に、このジョブズの言葉を書きました。
「ミーレ社はプロセスをじっくりと考えた。同社が開発した洗濯機や乾燥機のデザインは素晴らしい。これらの製品には、ここ数年どんなハイテク機器にも感じたことのない興奮を覚えた。」
このデザインという言葉、単に洗濯機と乾燥機の見た目の話じゃなくて、洗濯全体に対するデザインのことを言ってるんだなと、ミーレの洗濯機を使ってみると実感します。
で、その時にもう一つジョブズの言葉を思い出すんです。
「普通の人にとって『デザイン』というのは、みてくれのことさ。インテリアだよ。カーテンの布とかソファの材質といったね。でも、僕にとっては、そんなのデザインじゃない。デザインというのは人工物の基礎となる魂のようなもので、製品やサービスを包む外装という形で自己表現するんだ」
僕は、これからの洗濯機に必要なのは、表面的にくっつける目新しい機能ではなく
「洗濯の価値とは何か??」
「洗濯という行為とは何なのか??」
というところを突き詰める、作り手の思想だと思うのです。これはもしかすると、洗濯に限った話ではないのかもしれないですね。洗濯を別の●●に置き換えてもらっても同じことかもしれない。
ミーレは洗濯に対して、「哲学」「思想」「自社なりの答え」を持っている唯一の洗濯機メーカーだと思います。厳密には、僕の正解と、ミーレの正解は違うところもあるから
「ここもっとこうした方がいいんじゃね??」というところもありますが、「洗濯に関して深く考えてくれている」というのが洗濯機を使うと分かる。そこが、すごくうれしいのです。
|今の日本の洗濯機は、高性能、高機能だけど・・・。
日本のメーカーの洗濯機って、音は静かだし、オゾンで脱臭したり、洗濯槽は自動で掃除したり、自動車並のサスペンションが入っているものまであったりでめちゃくちゃ優等生。これはこれですごいことだと思いますし、高機能なことはいいことだと思います。
でも、僕が納得いかないのは、こういう洗濯機使っても洗濯が楽しくならないこと。そして、汚れ落ち至上主義で、「服をいたわる」という発想が全く無いこと。
洗濯機を作る人の中には、「洗濯はいかに手間を掛けずに汚れを落とすか?」しかないのだと思う。
それはそれで、一つの答えであると思うのですが、洗濯ってそれだけではないと思うんですよね。
それに対して、ミーレの洗濯機は、「洗濯で衣類をいかに長持ちさせることができるか?」と考えているという意志を感じる。
自分たちの洗濯に対する答え、自分たちの洗濯機のあるべき姿を考えている感じが伝わってくる。ジョブズが惚れたのもそういうところだと思う。
とまぁ、ここまで長々書いてきましたが、なにが言いたいかって言うと・・・・
日本の洗濯機がダメで、ミーレがいい!
ってことではなくて・・・・・
ミーレみたいに「思想」がある洗濯機が、もっと他にも出てきて欲しいなってことです!
そうすることで、洗濯のカタチって今とまた変わるはず。
僕も洗濯機を創りたいって思っているので、いつか完成したら買って下さいね(笑)